その糖質オフ、間違ってるかも。筋トレ初心者のための炭水化物の教科書

とりあえず糖質制限は危険であることを解説 ダイエット

そもそも「とりあえず糖質制限」がなぜ危険なのか

「ダイエットといえば糖質制限」「とりあえずご飯を抜けばいい」。そんなふうに、なんとなく糖質を悪者にしていませんか。気持ちはすごくわかります。一番手っ取り早く痩せそうな気がしますよね。

でも、その「とりあえず」が体にとって意外と危険なんです。まずはなぜ危ないのか、ここをきちんと知っておきましょう。

糖質はただの「太る原因」じゃない、体を動かす主燃料

糖質(炭水化物に含まれる、体のエネルギー源になる栄養素)は、私たちの体や脳を動かすメインの燃料です。特に脳は、基本的に糖質からつくられるブドウ糖しかエネルギーにできません。

だから糖質を極端に減らすと、頭がぼーっとしたり、集中力が落ちたり、強い疲労感が出たりします。勉強や部活、仕事のパフォーマンスにも直結する部分なんですね。

「太るから悪いもの」ではなく、「足りないと動けなくなる必須の燃料」。まずはこのイメージに切り替えるところからスタートです。

極端に減らすと筋肉が分解される(カタボリック)という落とし穴

筋トレをしている人にとって、ここが一番こわいポイントです。糖質が足りなくなると、体は筋肉を分解してエネルギーをつくろうとします。これを「カタボリック」(筋肉が分解される状態)と呼びます。

つまり、せっかくトレーニングで増やそうとしている筋肉が、糖質不足のせいで削られてしまうんです。体重は減っても、減っているのが脂肪じゃなくて筋肉、なんてことも起こります。

「痩せたいけど体は引き締めたい」という人ほど、極端な糖質カットは逆効果になりやすいので注意してください。

研究でも「減らしすぎ」は死亡リスクが上がると示されている

これは感覚の話だけではありません。43万人以上を対象にした大規模研究(The Lancet Public Health, 2018)では、炭水化物の摂取量と死亡リスクの関係が「U字カーブ」を描くと報告されています。

具体的には、炭水化物がエネルギーの50〜55%くらいのときに死亡リスクが最も低く、少なすぎても(40%未満)多すぎても(70%超)リスクが上がるという結果でした。

「減らせば減らすほど健康になる」わけではない、というのが大事なところです(出典:The Lancet Public Health)。

初心者がやりがちな糖質制限の失敗パターン

糖質制限そのものが悪いわけではありません。問題なのは「やり方をよく知らないまま、いきなり極端にやってしまう」こと。

ここでは、初心者がついやってしまいがちな失敗を3つ紹介します。当てはまっていないかチェックしてみてくださいね。

主食を全部抜いて一気にエネルギー切れ

一番多いのが、ご飯・パン・麺をいきなり全部ゼロにしてしまうパターンです。最初の数日は体重が落ちて「効果出た!」と感じますが、すぐに体がだるくなり、トレーニングの質がガクッと落ちます。

エネルギーが切れた状態で筋トレをしても、力が出ずに重量も伸びません。それどころか、ふらつきや頭痛が出てしまう人もいます。

体は急な変化が苦手です。減らすにしても、いきなりゼロではなく「少しずつ」が鉄則だと覚えておきましょう。

糖質を減らした分、脂質・タンパク質を摂りすぎる

「糖質さえ抜けば、あとは何を食べてもいい」と思っていませんか。これも危険な勘違いです。糖質を減らした分、お肉や揚げ物、チーズなどで脂質を摂りすぎてしまう人がとても多いんです。

脂質やタンパク質を過剰に摂り続けると、中性脂肪やコレステロール値が上がり、動脈硬化(血管が硬くもろくなること)などのリスクにつながると指摘されています。

糖質を減らすなら、全体のバランスもセットで考える必要がある、ということですね。

体重が落ちた=脂肪が落ちた、と勘違いする

糖質制限を始めて最初に減る体重の多くは、実は「水分」です。糖質は体内で水分と一緒に蓄えられているため、糖質を減らすとまず水が抜けて、体重がストンと落ちます。

これを「脂肪が燃えた」と勘違いすると、モチベーションの管理を間違えてしまいます。水分が抜けただけなので、食べればすぐ戻りますし、脂肪は減っていません。

体重計の数字だけに一喜一憂せず、見た目や体脂肪率も合わせて見ていくのが大切です。

本当はどれくらい摂ればいい?正しい糖質の量

では、糖質はどのくらい摂ればいいのでしょうか。「なんとなく」ではなく、ちゃんとした目安があります。

ここを知っておくと、無駄に怖がらず、自分に必要な量を冷静に決められるようになりますよ。

厚労省が推奨する炭水化物の割合(総カロリーの50〜65%)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日の総エネルギーのうち炭水化物から摂る割合を50〜65%にすることが目安とされています。

たとえば1日2000kcalを食べる人なら、その半分以上を炭水化物から摂るのが基本ライン、ということになります。これは「減らす」どころか、しっかり摂る前提の数字ですよね。

ちなみに1000kcalというと白米お茶碗4杯分に相当します。

1日に1000kcalしか食べない人でもお茶碗2杯分は食べたほうがいいということです。もちろんこれはダイエットのためではないですが、健康のためを考えるとこのくらい食べることが大事なんですね。

自分が1日にどのくらいのカロリーを摂っているかわからないという方は過去の私の記事を参考にしてみてください。

世間のイメージと、公的機関が示す目安には、かなりギャップがあるんです(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット日本人の食事摂取基準)。

筋トレする人はむしろ糖質が必要な理由

筋トレをしている人は、何もしていない人より糖質が必要です。なぜなら、筋肉を動かすエネルギーも、トレーニング後の回復も、糖質が大きく関わっているからです。

筋肉には「グリコーゲン」(糖質を貯めておく形)という燃料タンクがあり、これが満タンだと力が出やすく、空っぽだとパワーも出ず回復も遅れます。

「鍛えているのに痩せない」と悩む前に、まずは燃料となる糖質が足りているかを見直してみてください。減らすより、満たすほうが伸びることも多いんです。

「制限」より「質と量とタイミング」で考える

大事なのは、糖質を「敵」とみなして制限することではなく、「質・量・タイミング」をコントロールする発想に切り替えることです。

同じ糖質でも、白米とお菓子では体への影響が違います。量も、活動量が多い日と少ない日で変えていい。さらに、トレーニング前後に摂れば筋肉の味方になります。

「ゼロか100か」ではなく、「上手に使う」。これが初心者から一歩抜け出すための考え方です。

初心者向け・正しい糖質との付き合い方5ステップ

ここからは実践編です。むずかしいことは抜きにして、今日からできる具体的な付き合い方を紹介します。

全部を一度にやろうとせず、できそうなものから1つずつ試してみてください。

白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換える

最初のステップは「抜く」ではなく「置き換える」です。白米を玄米に、食パンを全粒粉パンに、というように、白い炭水化物を茶色いものに変えてみましょう。

茶色い炭水化物には食物繊維が多く含まれていて、血糖値の急上昇を抑えたり、便通を整えたり、コレステロールを下げる働きが期待できます。

食物繊維は積極的に摂りたい栄養素なので、置き換えるだけで自然と質が上がります(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)。

トレーニング前後にしっかり糖質を入れる

筋トレをするなら、トレーニング前後の糖質はむしろ味方です。前に摂れば力が出て、後に摂れば消耗したグリコーゲンの回復を助けてくれます。

たとえばトレ前におにぎり1個、トレ後にご飯やバナナ、といった形でOKです。「運動するのに何も食べない」ほうが、実はもったいないんです。

糖質を入れるタイミングを味方につけると、同じ努力でも筋肉のつき方や回復が変わってきますよ。

間食・ジュースの「隠れ糖質」から先に削る

もし糖質を減らしたいなら、主食ではなく「お菓子・ジュース・甘い飲み物」から削るのが正解です。これらは栄養が少ないわりに糖質だけが多い、いわゆる隠れ糖質の代表です。

ご飯を抜くより、毎日のジュースや甘いコーヒーをやめるほうが、体への負担なくスッと減らせます。しかも筋肉の燃料は守られたままです。

「削るべき糖質」と「守るべき糖質」を分けて考える。これだけで失敗はぐっと減ります。

ちなみに寝る前の炭水化物もおすすめしません。炭水化物は体を動かすためのエネルギー源ですが、寝る直前だと炭水化物をエネルギーとして使う前に体が眠ってしまいエネルギーとして使われることなく体にたまってしまうのです。夜食がよくないといわれるのもこれが理由です。ついつい食べてしまいがちな夜食は我慢して、その分日中にしっかり食べるようにしましょう。

それでも痩せたい初心者へ伝えたいこと

ここまで読んで、「結局どうすればいいの?」と思った人もいるかもしれません。最後に、一番伝えたいことをまとめます。

遠回りに見えても、ここが結局いちばんの近道です。

糖質制限より「総カロリー管理」が本質

痩せる仕組みはシンプルで、「消費するエネルギー > 摂るエネルギー」になれば体脂肪は減ります。糖質を抜くこと自体が痩せる魔法なのではなく、結果的にカロリーが減るから痩せているだけなんです。

つまり本質は、糖質を敵視することではなく、全体のカロリーをゆるく管理すること。ここを押さえれば、極端な制限に走らずに済みます。

「何を抜くか」より「全体でどれくらい食べているか」。まずはここに目を向けてみましょう。

続けられる方法こそが正解

どんなに正しい方法でも、続けられなければ意味がありません。極端な糖質制限は短期的に体重が落ちても、つらくて続かず、リバウンドしやすいのが現実です。

大好きなご飯をゼロにする生活より、量を少し調整して長く続けられる生活のほうが、1年後の体は確実に変わっています。

ダイエットは短距離走ではなくマラソンです。「ずっと続けられそうか」を、方法を選ぶ基準にしてみてください。

迷ったら専門家・かかりつけ医に相談を

体質や持病、成長期かどうかによって、必要な栄養は人それぞれ違います。特に中高生はまだ体が成長している大事な時期なので、極端な食事制限は本当に注意が必要です。

「自分の場合はどうすればいい?」と迷ったら、自己判断で突っ走らず、学校の先生や保護者、かかりつけ医、管理栄養士などに相談してください。

正しい知識を持った大人を頼るのは、決して弱いことではありません。賢く体づくりをしていきましょう。


参考にしたサイト・論文

コメント